冬のこの時期、肌のカサカサ、かゆみに悩まされる人が多いのではないでしょうか? 大気が乾燥しやすいこの時期は、肌の水分が奪われやすく、乾燥には十分な注意が必要です。今回は、乾燥肌が起こるメカニズムと正しい保湿ケアの方法を解説します。
■ 肌はバリア機能で守られている
乾燥肌(ドライスキン)とは、肌の水分や皮脂が低下したうるおいのない肌をいいます。肌のうるおいを保っているのが、皮膚の一番外側にある「角質層」。
角質層のうるおい(水分)は、①天然保湿因子、②細胞間脂質、③皮脂膜の3つの保湿因子によって保たれています。これらの保湿因子は、皮膚から水分が蒸発するのを防ぎ、ほこりや細菌など外からの刺激をブロックする“バリア機能”の役目をしています。
○3つの保湿因子
天然保湿因子 |
角質層内に水分を蓄える |
角質細胞間脂質 |
角質細胞間をうるおす成分 |
皮脂 |
角質層の表面を覆う「天然の保湿クリーム」 |
■ なぜ、かゆくなる?
冬は大気が乾燥するうえに、暖房の影響で室内の湿度も低くなりやすいため、上記の保湿因子のいずれかが減少し、バリア機能が低下して肌の乾燥が進みやすくなります。
バリア機能が低下すると、温度の変化や衣服との摩擦などのわずかな刺激にも反応して「かゆみ」が生じがちです。かゆいところがあると、我慢できずについかいてしまいがちですが、かくのは我慢。かいた刺激でさらにかゆみが増したり、皮膚に炎症が起こるなど、悪循環に陥ってしまうからです。
■ 保湿ケアで肌のバリア機能をアップ
乾燥によるかゆみは、保湿剤を塗るなどのセルフケアで、予防・改善が可能です。ただし、皮膚に炎症が起きている場合やかき壊してしまった場合は、まず皮膚科で適切な治療を受けることが必要です。
①保湿剤を使う
保湿剤は市販のものでよく、ドラッグストアや薬局で薬剤師に相談すれば、症状に合った保湿剤を選んでもらえます。最も大切なことは、適切な量を塗ることです。塗る量が少なすぎると十分な保湿効果が得られません。
【クリーム、軟こうの場合】
大人の指先~関節1つ分出した量を、大人の手のひら2枚分の面積に塗ります。
【ローション、乳液の場合】
1円玉大の量を、大人の手のひら2枚分の面積に塗ります。
②保湿剤の塗り方
保湿剤はすり込まないで“乗せる”ように、やさしく手のひらで広げます。
③保湿剤を塗るタイミング
保湿剤は入浴後できるだけ早く塗ると効果的です。そのほか、水仕事のあと、乾燥が気になったときは、こまめに塗り、肌の乾燥を防ぎましょう。
- 参考:
- “外用薬(塗り薬)の正しい使い方”アレルギーに関する情報サイト
■ 保湿ケアの効果を高めるライフスタイル
日々の何気ない生活が乾燥肌を招く原因になっていることも少なくありません。“うるおい生活”を意識しましょう。
●低刺激性の洗浄剤で、やさしく洗う
顔や体を洗うときにタオルやスポンジなどでゴシゴシこすることはやめましょう。角質層を傷つけて、乾燥の悪化を招くことがあります。皮膚にできるだけ刺激を与えないことが大切です。
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●熱い湯で、長湯しない
熱いお湯に長時間つかると皮脂が失われやすいので、ぬるめのお湯での短時間入浴がおすすめです。
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●肌に触れるものは、刺激の少ない素材を選ぶ
肌への刺激がかゆみを引き起こすため、肌に直接触れる下着やシーツなどの寝具は、肌触りがよい素材を使ったものを選びましょう。
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●湿度と温度に注意する
乾燥から肌を守るために、加湿器などを用いて湿度を50%前後にし、エアコンの設定温度は18~23℃を保ちましょう。
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- 参考:
- “乾燥肌に対策 かゆみを放置しないで皮膚のトラブルを解決” 糖尿病ネットワーク
乾燥肌が原因でかゆみが出ると、イライラする、眠れない、集中できないなど生活の質を落とすことにもつながりかねません。乾燥肌を予防して、快適な毎日をすごしましょう!
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