「春眠暁を覚えず」……春になるとウトウトしてしまうという人も多いのではないでしょうか? しかし、その眠気の原因が睡眠時無呼吸症候群の場合、命にかかわる危険があります。睡眠時無呼吸症候群が引き起こす健康への悪影響を解説します。
■ 睡眠時無呼吸症候群とは?
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に10秒以上呼吸が止まったり(無呼吸)、止まりそうな弱い呼吸(低呼吸)が繰り返される病気です。国内には約200~300万人の患者がいるのではないかと推定されていますが、その80~90%が検査・治療を受けていないのが現状です。
睡眠時の呼吸障害によって睡眠が分断されることで睡眠の質が低下し、脳への酸素の供給も悪くなるため、日中に強い眠気や倦怠感に襲われ、集中力も低下します。作業能率は下がり、居眠りのために運転や機械の操作を誤って、大事故を引き起こす危険も高くなります。実際、睡眠時無呼吸症候群の患者は、一般のドライバーよりも交通事故発生率が高いという調査結果も報告されています。
また、血中の酸素不足により心臓に負担がかかるため、放置していると高血圧を招きます。酸素不足が続くと動脈硬化が進むため、心疾患や脳疾患などの命にかかわる病気につながります。
睡眠時無呼吸症候群の原因
睡眠時無呼吸症候群の原因は、気道が塞がってしまうことです。気道が塞がる要因は、首回りに脂肪が蓄積している、扁桃腺の肥大、口蓋垂(こうがいすい;のどちんこ)の裏側にある咽頭扁桃(いんとうへんとう)の肥大、舌の根元(舌根)がのどの奥の方向に落ち込んでいる、舌が大きいこと(巨舌症)などです。
肥満の男性に多く発症しますが、やせている人や女性にも起こることがあります。顎が小さい人は気道が狭くなりやすく、睡眠により筋肉が緩んで舌根が沈むと、気道が塞がれてしまうためです。
■ 軽視しないで! いびきや日中の強い眠気
睡眠時無呼吸症候群の疑いで病院を訪れる場合、そのほとんどは近くで寝ている家族が「大きないびき」や「呼吸停止」を心配して受診を勧めたケースです。しかし、ひとり暮らしの人では、自分ではなかなか気づけません。その場合は、下記の自覚症状がないかチェックしてみましょう。
◎睡眠時無呼吸症候群の自覚症状
□日中の耐えられないほどの眠気
□夜間頻尿
□熟睡感の欠如
□寝ている間の呼吸困難感
□全身の倦怠感
□起床時の頭痛 など |
これらの症状がある場合は、呼吸器内科や耳鼻咽喉科、睡眠専門外来などを受診しましょう。
■ 睡眠時無呼吸症候群を予防・改善しよう
睡眠時無呼吸症候群は、長年の生活習慣で悪化することもあります。また、逆に生活習慣を変えることで睡眠時の無呼吸が改善することもありますので、以下の点を心がけましょう。
肥満の予防・解消 |
肥満は睡眠時無呼吸症候群の大きな要因。エネルギーの過剰摂取にならないよう食生活に気をつけ、定期的な運動を行って、適正体重を維持する。 |
節酒・禁煙する |
過度の飲酒や喫煙は気道を塞がりやすくする。 |
睡眠薬の服用は医師に相談してから |
薬の副作用で気道が塞がりやすくなる。 |
快適で安全な毎日を送るために症状に覚えがあれば早めに受診し、生活習慣を見直して、よい睡眠、よい健康状態を保ちましょう!
|