記録的な猛暑が続き、熱中症対策が年々欠かせないものになりつつあります。外出を控えなければいけない日が増える一方で、気をつけなければいけないのが“身体活動不足”。健康づくりに役立つ身体活動の “めやす”を知り、屋内でも上手に体を動かしましょう!
夏は“身体活動不足”に注意しよう!
身体活動とは、体を動かすすべての活動のこと。スポーツやフィットネスなどの「運動」だけでなく、仕事や家事などの「生活活動」も含まれます。身体活動不足が続くと、筋力や体力が低下し、生活習慣病やフレイル※のリスクも高くなります。健康を守るために、夏こそこまめに体を動かすように意識しましょう。
※加齢に伴い、心身の衰えがつみ重なることで起こる、健康と要介護の間にある虚弱な状態のこと
他にもあります! 筋力・体力低下がもたらす体の変化
●冷え性 ●熱中症 ●骨粗しょう症 ●疲れやすくなる ●転びやすくなる など
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健康につながる身体活動の“めやす”とは?
厚生労働省が定める指針では、健康のために「長時間の座りっぱなしを減らし、少しでも体を動かすこと」を推奨しています。1日の身体活動の目標は、歩数に換算すると成人(18~64歳)で8,000歩以上、高齢者(65歳以上)では6,000歩以上。また、筋力トレーニングなどの運動を行うこと、座位行動(座りっぱなし)を減らすことも大切です。これらの目標と比べて、あなたの身体活動は不足していませんか? ふだんの生活をふりかえってみましょう。
出典:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
身体活動
成人 (18歳~64歳) | 歩行(3メッツ)以上の身体活動を1日60分以上 |
歩数換算で、1日8,000歩以上をめやすにしましょう! |
高齢者 (65歳以上) | 歩行と同じくらい(3メッツ以上)の身体活動を1日40分以上 |
歩数換算で、1日6,000歩以上をめやすにしましょう! |
運動
成人 (18歳~64歳) | 息がはずみ汗をかく(3メッツ)以上の運動を週60分以上 |
筋力トレーニングを週2~3日行いましょう! |
高齢者 (65歳以上) | 多要素な運動を週3日以上 |
筋力トレーニングを週2~3日行いましょう! |
座位行動
成人 高齢者 | 座りっぱなしの時間が長くなりすぎないように注意する |
屋内で体を動かそう!
以下の表で、身の回りの生活活動や運動のメッツを確認してみましょう。ふだん何気なく行っている活動にも、3メッツを超える活動がたくさんあります。また、3メッツ未満の活動でも、座りっぱなしを中断することができれば、健康づくりにつながります。
身体活動のメッツ表
メッツ | 屋内でできる活動 | 屋外の活動 |
5.0 | 筋力トレーニング(スクワット) 動物と活発に遊ぶ
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4.5 | 階段を上る、ラジオ体操第二 | ゴルフ |
4.0 | ラジオ体操第一 | 自転車をこぐ(約16km/時)、庭仕事 |
3.8 | 荷物運び | ウォーキング(約5km/時) |
3.5 | 階段を下りる、お風呂掃除、家庭での体操 | |
3.3 | 拭き掃除(窓拭きなど)、太極拳 | |
3.0 | 道具や衣類の片づけ、台所の手伝い | ウォーキング(約4km/時)、犬の散歩 |
2.5 | 食料品の片づけ、こどもの世話、ヨガ | |
2.3 | 家の中を歩く、洗濯、ストレッチ | |
2.0 | 植物の水やり、料理、CM中に足踏み | |
1.5 | 食事、入浴 | |
1.3 | デスクワーク | |
1.0 | 睡眠、読書、テレビを観る | |
出典:医薬基盤・健康・栄養研究所「改訂第2版『身体活動のメッツ(METs)表』成人版」
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
身体活動“ちょい足し”のヒント
気負わずにできる活動をコツコツとつみ重ねることが、身体活動不足解消のカギです! 家事の頻度を増やしたり、すきま時間に体操をしたりなど、生活に合わせて身体活動を“ちょい足し”しましょう!
●こまめに家事をする
●30分に1回タイマーを鳴らし、立ち上がる
●手の届かないところにスマートフォンや飲みものを置く
●トイレに行ったら、スクワットを3回する
●CM中に足踏みをする など
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身体活動は、健康づくりの重要な柱です。“めやす”を知り、“座りっぱなし”を減らし、無理なくできる“身体活動”を行うことが、未来の健康を守ります。家事や運動など、あなたの生活に合わせて、屋内で体を動かすことを心がけましょう。
参考資料
・医薬基盤・健康・栄養研究所「改訂第2版『身体活動のメッツ(METs)表』成人版」
・厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
☆次回のテーマは『平時から備えよう もしものときの健康対策』を予定しています。 9月1日は、防災の日。地震や大雨などの災害は、私たちの暮らしだけでなく、地域の医療にも大きな影響を与えます。持病や薬に関する“情報”を備えておくこと、平時から災害時の“生活”を想定しておくことが、もしものときのあなたの健康を守ることにつながります。防災の日を迎える9月、あらためて健康への備えを見直してみませんか? 次回は、平時から備える災害時の健康対策について紹介します。 |
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