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夏こそ注意! 家庭でできる食中毒対策

写真高温多湿な日本の夏は、細菌が繁殖しやすい季節でもあります。この時期に気をつけなければいけないのが、食中毒です。買い出しや調理などの場面でしっかり対策することが欠かせません。今回は、暑い季節に欠かせない食中毒対策のポイントについて紹介します。

食中毒ってなに?

食中毒とは、食中毒の原因となる細菌やウイルス、有毒な物質がついた食品をとることによって生じる、さまざまな症状のことです。吐き気やおう吐、腹痛、下痢などが代表的な症状ですが、しびれ・麻痺などの神経障害が生じることもあり、重症化すると死に至る恐ろしい病気です。食中毒の原因によって、症状や潜伏期間、対策はそれぞれ異なります。

夏は「細菌性」の食中毒に要注意!

日本での食中毒は、「細菌」、「ウイルス」、「寄生虫」によるものが多く、細菌による食中毒は6月から増加し、とくに7~9月の夏に多く発生しています。

食中毒対策のポイント 細菌編

おもな細菌は、室温(20℃)で増殖をはじめ、人や動物の体温(35~40℃)で最も活発になります。また、その多くが湿気を好みます。梅雨から夏にかけて高温多湿となる日本は、まさに細菌が繁殖しやすい環境です。細菌による食中毒を防ぐためには、「つけない」、「増やさない」、「やっつける」を徹底することが大切です。

細菌による食中毒対策の3原則

1 つけない
洗う
手の衛生管理は、食中毒対策の基本。こまめに手を洗いましょう。食品や調理器具も十分な洗浄を。
分ける
菌がつかないように、箸やまな板は肉と野菜で別々に分けて。食品を保存するときは、密閉容器に入れたり、ラップに包んだりしましょう。
2 増やさない
低温で保存する
おもな細菌の増殖は、10℃で遅くなり、-15℃で停止します。買ってきた食品は常温に放置せずにすぐに冷蔵庫へ。
長期保存を避ける
冷蔵庫に保存していても、過信は禁物。調理したものは早めに食べきるようにしましょう。
3 やっつける
加熱する
食材は中までしっかりと加熱しましょう。布巾やまな板、包丁などの調理器具も定期的な熱湯消毒を。

夏に注意したい 食中毒の原因となる細菌

黄色ブドウ球菌

人の鼻やのど、皮膚などに存在し、とくに傷やニキビに多く付着している細菌です。食品の中で増殖するときに毒素をつくりますが、この毒素は熱に強いため注意が必要です。
おもな感染源 調理者の手指
潜伏期間 約3時間
おもな症状 吐き気、おう吐、下痢、腹痛 など
予防のポイント ・調理する前に手指を消毒する
・手指に傷などがある場合は、ゴム手袋を使用する
・手荒れを予防する

カンピロバクター

鶏、豚、牛などの腸に生息する、感染力が強い細菌です。おもに生や加熱不十分な鶏肉から感染します。熱や乾燥に弱く、空気にさらされると死滅します。
おもな感染源 食肉(とくに鶏肉)
潜伏期間 2~5日
おもな症状 発熱、頭痛、筋肉痛、吐き気、下痢、腹痛 など
予防のポイント ・食肉の生食を避け、十分に加熱する(75℃以上で1分以上)
・生肉で使用した調理器具を分ける

ウェルシュ菌

土壌や川、動物の体内など自然界に広く存在する細菌です。加熱してもほとんど死滅せず、大量調理された料理の中心部で急速に菌が増殖します。
おもな感染源 食肉、魚介類、野菜を使用した加熱調理品(カレーやシチューなど)
潜伏期間 6~18時間(平均10時間)
おもな症状 下痢、軽い腹痛 など
予防のポイント ・加熱調理したものはできるだけ早く食べきる
・大量に加熱調理したときは、室温で放置しない
・保存するときは、小分けにして冷却する

食中毒対策のポイント ウイルス編

ウイルスは、生きた細胞でのみ増殖できる微生物で、細菌のように食品の中では増殖しません。ウイルスが付着した食品を食べたり、感染者を介してウイルスが体内に入ったりすることでウイルスが体内で増殖し、症状があらわれます。また、ウイルスは低温や乾燥に強く、冬に患者が増えやすいという特徴もあります。しかし、昨年は、夏(6~9月)にも全国で1,046人*がノロウイルスによる食中毒にかかっており、油断大敵。「持ちこまない」対策も加えて、一年を通じてしっかりと対策しましょう!
*厚生労働省:令和6年(2024年)食中毒発生状況

ウイルスによる食中毒対策の4原則

1 持ちこまない
ウイルスに感染しない、感染した場合には調理場に入らないなど、日頃からの健康管理に努めましょう。
2 つけない
食品にウイルスがつかないようにこまめに手洗いを。
3 ひろげない
調理器具を介してウイルスをひろげないように、使用後はしっかりと洗浄しましょう。
4 やっつける
ウイルスもしっかりと加熱することが大切です。ウイルスが付着していることの多い二枚貝等を扱った後は、調理器具をしっかりと熱湯消毒しましょう。

夏に注意したい 食中毒の原因となるウイルス

ノロウイルス

感染力が強いウイルスで、カキなどの二枚貝に蓄積されています。感染者のおう吐物などを介した集団感染が発生しやすく、幼児や高齢者では重症化の危険があるため注意が必要です。症状がおさまったあとも、約2週間はふん便などからウイルスが排出されます。
おもな感染源 ノロウイルスに汚染された二枚貝、感染者
潜伏期間 24~46時間
おもな症状 吐き気、おう吐、下痢、発熱(38℃以下) など
予防のポイント ・加熱用の二枚貝は、中心温度85~90℃以上で90秒以上加熱する
・二枚貝で使った調理器具は他の食材のものと分ける
・おう吐や下痢があったときは二次感染に注意する

近年増加しています! アニサキスによる食中毒に注意!

アニサキスは、魚介類に寄生している寄生虫です。長さ2~3cm、幅0.5~1mmくらいの大きさで、白い糸のような形をしています。刺身や寿司など、魚介類を生で食べる習慣がある日本ではアニサキスによる食中毒が増加しています。
おもな感染源 サバ、サンマ、アジ、カツオ、サケ、イカなどの魚介類
潜伏期間 数時間~数日
おもな症状 みぞおちの激しい痛み、吐き気、おう吐、腹膜炎症状 など
予防のポイント ・十分な加熱調理をする(中心温度60℃以上で1分以上)
・生食をする場合、十分に冷凍(-20℃で24時間以上)された魚介類を使用する
・目視で確認して、除去する

家庭でできる! 食中毒予防のポイント

買いもの

・消費期限などの表示をチェックして購入する
・肉・魚はそれぞれ分けて、できれば保冷剤(氷)などと一緒に包む
・寄り道せずになるべく早く帰る

保存

・帰ったらすぐに冷蔵庫へしまう
・冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下を維持する
・肉・魚は汁がもれないように包み、ほかの食品と分けて保存する

下準備

・冷凍食品の解凍は冷蔵庫で行う
・肉・魚は、生で食べる野菜などから離して調理する
・肉・魚を切った包丁やまな板は、しっかり洗うか熱湯消毒する

調理

・十分に加熱する(中心部の温度が75℃で1分以上がめやす)
・電子レンジを使うときは、途中でかき混ぜて均一にあたためる
・すぐに食べないものは、冷蔵・冷凍保存する

食事

・食事の前に手を洗う
・盛り付けは清潔な調理器具・食器を使う
・長時間室温に放置しない

食品の保存

・手洗い後、清潔な器具・容器で保存する
・少しでもあやしいと思ったら、思い切って捨てる
・温めなおすときは十分に加熱する

もしも食中毒が起こったら?

急な吐き気やおう吐、腹痛、下痢などの症状があらわれたら、食中毒が疑われます。同じ食事をした人に症状があるときは、二次感染の危険性もあります。「もしかして」と思ったときは、すみやかに医療機関を受診しましょう!

家庭でできる応急手当

・おう吐や下痢のあとは、脱水症状を防ぐため水分を補給する
・市販の下痢止め薬は飲まない
・おう吐物で窒息しないように、横になるときは体の左側を下にする

二次感染を予防しよう

食中毒患者からの感染予防
・使用した食器は、漂白剤に1時間以上浸し、十分に洗浄する
・ドアノブ・蛇口・トイレの便座など触った場所や物は消毒する
・衣類は分けて洗い、十分に乾燥させる
・入浴は家族が済ませたあとにして、湯船につからない
汚物処理のポイント
・おう吐物などはビニール袋などで密閉して処分する
・汚物を処理するときはマスク・ゴム手袋を着けて処理する
・汚物などで汚れた場所は、消毒液で十分に清掃・殺菌する
・処理した後は十分に換気を行う
消毒液のつくり方
次亜塩素酸ナトリウムは、ノロウイルスに効果がある唯一の消毒液です。注意事項をよく読んだ上で正しく使用しましょう。

参考資料
・政府広報オンライン:食中毒予防の原則と6つのポイント
・厚生労働省HP:家庭での食中毒予防
・東京法規出版:「食中毒予防ハンドブック」

次回のテーマは『“めやす”を意識して健康に! 屋内でコツコツ体を動かそう』を予定しています。
熱中症の危険が最も高まる8月を迎えました。この時期は、屋内で過ごす時間が多くなりがちですが、体を動かす活動(身体活動)の減りすぎに注意する必要があります。その身体活動には、健康づくりに推奨されている“めやす”があることをご存じですか? “体を動かす=息がきれる運動”と誤解している人も多いかもしれませんが、屋内でも身体活動を稼ぐワザはたくさんあります! 次回は、夏に意識したい身体活動のめやすと、屋内でも上手に体を動かすヒントについてご紹介します。
 
 
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