みんなで集まって食事をすること(共食)は、古くから世界中で共通する、人間特有の行動です。しかし今、「共食」の時間の減少が懸念されています。そこで今回は、共食が心身にもたらす健康効果を解説します。
■ 「孤食」は健康に悪い!?
最近は、核家族化やライフタイルの変化などによって、ひとりで食事をする「孤食」の人が少なくありません。この様子は、最近の子どもの食事スタイルに顕著です。『ニワトリ(コケコッコー)症候群』と表現され、栄養面の偏りだけでなく、心身の健康状態の悪化や生活習慣の乱れにもつながる弊害が問題視されています。
コ:孤食(コ食) |
一人で食べる |
ケッ:欠食(ケッ食) |
朝食を抜く |
コ:個食(コ食) |
家族が別々に自分の好きなものを食べる |
コ:固食(コ食) |
いつも同じものばかりを食べている |
大人の場合も同様で、孤食だと栄養バランスが崩れやすく、心臓病や脳卒中など重大な病気を招くメタボリックシンドロームになる危険が高まります。また高齢者の場合は、孤食をきっかけに栄養不足に陥り、筋肉量が減少して全身の衰弱が進み、要介護状態につながりやすいことがわかってきました。
■ 「食育」のススメ
国は、国民運動として食育活動を推進しています。「食育」とは、「さまざまな経験を通じて、食に関する知識とバランスのよい食を選択する力を身につけ、健全な食生活を実践できる力を育むこと」をいいます。食べることは、生きるために欠かせない行為です。そのため、すべての人が食育を通じて、「食べる力」=「生きる力」を育むことが重要です。
○食育によって身につけたい「食べる力」
- 心と身体の健康を維持できる
- 食事の重要性や楽しさを理解する
- 食べ物の選択や食事づくりができる
- 一緒に食べたい人がいる(社会性)
- 日本の食文化を理解し伝えることができる
- 食べ物やつくる人への感謝の心
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- 出典:
- “「食べる力」=「生きる力」を育む 食育 実践の環(わ)を広げよう」” 政府広報オンライン
なかでも、上表にある「一緒に食べたい人がいる」=「共食すること(だれかと食事を共にする)」の大切さが、今改めて見直されています。
■ 「共食」は健康づくりのキーワード
食事は、単に空腹を満たすためだけのものではありません。家族や友人などとの大切なコミュニケーションの場としても重要です。いっしょに食事をして「おいしいね!」と言葉を交わせば、食事の楽しさが実感でき、お腹だけでなく心も満たされます。
子育て家庭では、家族みんなで食卓を囲むことによって食事のマナーを身につけ、ほかの人に合わせることで協調性や社会性を養うよい機会にもなります。
○共食の3大メリット
(1)コミュニケーションが活性化し、絆が深まる
共食について、多くの人が「コミュニケーションを図れること」「楽しく食べることができること」をメリットに挙げています。
(2)規則正しく食べ、栄養バランスもよくなる
バランスのとれた適切な量と質の食事を、1日3食規則正しく食べることが健康な心身の土台です。
(3)心身の健康状態を確認できる
いつもより食欲がなかったり、元気がなかったりすると、「どこか調子が悪いのかな」と、周囲が気づくきっかけになります。
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ひとり暮らしでも、周囲に目を向ければ、自治体主催の食事会や調理教室のイベントなど、食事を楽しむ機会が意外とあります。仲間と誘い合って足を運べば、地域とのつながりを持つきっかけにもなりますね。
「だれかといっしょに」を合言葉に、共食の機会を増やしていきましょう!
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