ふとした瞬間に、全身鏡に映った自分が猫背やお腹を突き出したような姿勢になっていませんか? もしそうだとしたら、見た目だけでなく、健康にも悪影響があるかもしれません。今回は、猫背を予防して、生涯健康にすごすためのライフスタイルをご紹介します。
■ 猫背は、筋力低下の危険信号
「猫背」は、単に姿勢が悪いというだけではなく、筋力低下のサインでもあります。背筋を伸ばした姿勢を保つには、ある程度の筋力が必要ですが、この筋力が衰えると猫背になってきます。筋力低下は、「ロコモ」を招く最も大きな要因です。
■ 筋力低下が将来の要介護を招く
ロコモ(ロコモティブシンドローム)とは、骨や筋肉、関節などの運動器官が弱まり、立つ、歩くといった動作が難しくなり、将来介護が必要な状態や、要介護になる危険が高い状態をいいます。ロコモにならないためには、20~30代のうちから運動器官を維持・増加させる対策が必要です。
■ 猫背は全身の不調も引き起こす
猫背の症状が進むと重心が前方に傾くので、転倒しやすくなります。また、次のようなさまざまな症状を引き起こすことがあります。
肩こり・腰痛 |
猫背による姿勢の崩れは首や肩、腰への負担が大きくなる。 |
胃腸の不調 |
前かがみの姿勢は胃腸に負担をかけるため、逆流性食道炎や便秘のような消化器障害を引き起こすことがある。 |
肺機能の低下 |
前傾姿勢になることで肺が圧迫されるため、肺の動きが悪くなり、体全体への酸素の供給が不足がちになる。その結果、疲れやすくなる、集中力の低下などが起こる。 |
■ 猫背の改善&ロコモ予防の3か条
① よい姿勢を意識する
近年では、パソコンやスマホの視聴時間が長くなっているため、猫背になりやすい環境です。パソコン作業時は机と椅子の高さを見直し、画面を覗き込むような姿勢にならないように気をつける、スマホはできるかぎり顔の前で見るようにするなど、よい姿勢を保つように意識します。
まっすぐに立つ、正しく立つことは、実は難しいことです。よい姿勢(※)を確認して、繰り返し修正していきましょう。
※参考
(公財)健康・体力づくり事業財団ホームページ「よい姿勢」
② まめに体を動かす
機械化や自動化が発達した今日では、自覚する機会もなく運動器官は日々緩やかに衰えやすくなっています。電車内ではできるだけ立ち、エスカレーターやエレベーターは使わず階段で行く、歩くときは大またで歩きましょう。
筋肉は、「動く」という指令が伝わると、いくつになっても強くなろうとします。こうした積み重ねが運動器官の低下を食い止めます。まめに体を動かすことを心掛けましょう!
③ 食事は体づくりの基本
猫背の原因には、骨の構造がもろくなって起こる骨粗しょう症が原因となっている場合があります。骨粗しょう症で、背骨の一部がつぶれる圧迫骨折が起こると、猫背になったり、身長が縮んだりします。若い女性にも“骨粗しょう症予備群”が増えています。
女性では、おもにダイエットや食生活の乱れが原因で、筋力や骨密度は低下します。骨粗しょう症の予防には、筋力アップに必要なたんぱく質、たんぱく質の合成を促進するビタミン、骨を形成するカルシウムを一緒にとることが効果的です。栄養バランスのとれた食事の見本は、日本の定食です。「主食+副菜+主菜」を基本に、牛乳・乳製品や果物をほどよく加えましょう。
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