「お化粧すると気持ちが引き締まる、気持ちが前向きになった」と感じたことはありませんか? 今回は、「化粧療法」の研究から明らかになってきた、お化粧がもたらす健康効果を解説します。
■ 心の健康と健康寿命の関係
「健康寿命」とは、介護などを必要とせず、自立して日常生活を送れる期間のことです。日本は長寿国ですが、平均寿命を延ばすだけでなく、いかに健康に生活できる期間を延ばすかに関心が集まっています。
年齢に関係なく、「人と交流すること」は、生きがいにつながり、脳や体の機能を高め、健康寿命を延ばすことがわかっています。
しかし、とくに高齢期になると体の衰えや持病などの問題や、退職など社会的な役割の喪失、家族や友人との死別など、さまざまなものを失っていく時期であることから抑うつ気分(憂うつ感、悲しさ、むなしさ、虚無感など)が生じやすくなり、活力が低下し、引きこもりがちになります。
すると、ますます気持ちが落ち込んでいき、体を使わないことで筋力や食欲も低下してしまうため、動くのがおっくうになり、外出の頻度が減り、人にも会わなくなるという悪循環に陥ってしまいがちです。
■ お化粧で心いきいき健康生活
抑うつ気分の解消のひとつとして、「化粧療法」が注目されています。ある化粧品会社による調査結果では、お化粧などを月1回ペースで計4回受けた女性(平均年齢83.5歳)は、免疫力が約1.6倍高まり、笑顔や会話が増え、41%は食欲や睡眠が改善され、健康増進効果が裏付けられたそうです。
お化粧や身だしなみを整えると、自分に自信が持てて前向きな気持ちになり、人と交流する意欲が高まり、楽しい気分を味わって、それが「生きがい」につながるという好循環が生まれます。
○生きがい感と化粧の関係
■ まだあるお化粧の健康効果
外出の頻度が増えると、活動量が多くなるので食欲がわき、昼間に活動したほどよい疲れで夜にはぐっすり眠れて体力も増進します。たかが化粧と侮るなかれ! ですね。
ほかにもこんな効果が・・・
□ スキンケアのマッサージは、お口の健康と体の健康に役立ちます
肌の手入れの際、だ液腺に意識して触れることで、だ液の分泌がよくなります。だ液は歯・口を洗浄・殺菌してくれるため、歯周病やむし歯を予防します。また、かむ力、飲み込む力、消化力がアップするため、低栄養を予防し、体力・免疫力がアップします。 |
□ お化粧は脳を活性化します
お化粧で脳の血流がよくなり、外出意欲が高まることで、認知症予防に役立ちます。 |
□ お化粧には筋力トレーニングの効果も
お化粧するときに容器の開け閉めをする、顔に塗るときに手指や腕の筋肉を使うため、つかんだり、持ち上げるといった日常動作に必要な筋肉を維持できます。 |
最後に、男性のみなさん、自分には関係ないと思っていませんか? いいえ、男性でも髪や眉を整えたり、顔や頭皮のマッサージをすることで、お化粧と同じような効果が期待できるそうです。また、「蝶ネクタイ」など、普段と違う装いをすることでも効果があるとか。
お化粧や身だしなみを整えて、いつまでも若々しく、毎日をいきいきと過ごしていきましょう!
|